
そもそもガソリンの暫定税率はいつからどのように始まった?
ガソリンの暫定税率は、1974年に「道路整備のための財源確保」を目的として導入されました。高度経済成長期を経て自動車の保有台数が急増し、道路整備が追いつかないという課題があった時代です。そこで政府は、既存の「揮発油税」および「地方揮発油税」に対し、本則税率に加えて一定の上乗せをする“暫定措置”を導入。これが「暫定税率」と呼ばれるようになりました。具体的には、ガソリン1リットルあたりの税金が大幅に引き上げられました。あくまで“暫定”という名目で始まった制度でしたが、その後も財源確保の必要性などから延長され続け、現在まで続いています。このように、ガソリンの暫定税率は「一時的措置」として始まりながらも、事実上の恒久税として定着してしまっているのが現状です。
暫定税率の何が問題?
ガソリンの暫定税率には、いくつかの根本的な問題があります。まず最も大きいのは「暫定」と言いながら長年にわたって継続されている点です。1974年に導入された暫定税率は、本来であれば期限付きの措置であるはずが、50年近くもの間延長されており、もはや「恒久化された暫定措置」となっています。これは制度としての透明性や国民の信頼を損ねる要因となっています。さらに、税負担の大きさも問題視されています。ガソリン1リットルには、暫定税率を含めた税金が約50円以上課されており、これは原油価格の上下に関係なく固定されています。そのため、ガソリン価格が高騰しても税額は変わらず、庶民の生活や物流業界に大きな負担を与える結果となっています。また、環境対策を理由に税を維持する声もありますが、税の本来の目的が「道路財源」であった点からしても、整合性が問われる場面も少なくありません。
暫定税率を廃止した場合のメリット
ガソリンの暫定税率を廃止した場合、消費者にとっての最大のメリットは「ガソリン価格の引き下げ」です。現在、1リットルあたりにかかる税金のうち約25円が暫定税率による上乗せ分とされており、これが撤廃されればガソリン価格は大きく下がることになります。これは特に地方に住む人々や、車が生活必需品となっている家庭にとって大きな恩恵となるでしょう。また、物流コストの低下も期待され、食品や日用品の価格に間接的な影響を与える可能性もあります。さらに、「暫定」と名のつく制度を撤廃することで、税制の透明性や信頼性が高まるという政治的な意義もあります。ただし、道路整備やインフラ維持のための財源が減ることになるため、その代替財源の議論が不可欠です。メリットを享受しつつも、公共サービスの質を落とさないためのバランスある制度設計が求められます。
まとめ
・ガソリンの暫定税率は、1974年に「道路整備のための財源確保」を目的として導入されました。
・本来であれば期限付きの措置であるはずが、50年近くもの間延長されており、もはや「恒久化された暫定措置」となっています。
・ガソリンの暫定税率が撤廃されればガソリン価格は大きく下がることになり、特に地方に住む人々や、車が生活必需品となっている家庭にとって大きな恩恵となるでしょう。また、物流コストの低下も期待され、食品や日用品の価格に間接的な影響を与える可能性もあります。
・一方で、道路整備やインフラ維持のための財源が減ることになるため、メリットを享受しつつも、公共サービスの質を落とさないためのバランスある制度設計が求められます。
いずれにしても、できるだけ早く国民の生活に寄り添う判断が望まれるところです。
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